海底地震や漁業に使用される漁具によって光海底ケーブルが切断されたり、一部が傷つけられて機能が低下したりすることがあります。
このような場合、ケーブルシップが障害海域に急行してケーブルの修理を行います。
光海底ケーブルの修理作業は通常、1)ケーブル障害位置の特定、2)障害ケーブルのケーブルシップへの引き揚げ、3)ケーブル障害箇所の切断・除去、4)ケーブルシップタンク内の予備ケーブルと引き揚げてきたケーブルとの接続、5)確認試験・再敷設、の手順からなります。
光海底ケーブル修理手順
1. ケーブルの障害位置は、各種試験により陸側の海底ケーブル陸揚げ局舎からのおおよその距離が判明しています。
ケーブルシップは、GPSにより障害位置まで航行し、障害位置の海上で、ケーブルシップから、ロープ先端に取り付けられたケーブル探線及び切断用の装置を海中に投入し、この装置を海底で引きずることでケーブルを切断します。
2. 切断したケーブルの一方は、次に海中に投入された、ロープ先端に取り付けられたケーブル把持装置を使用して把持し(捕線と言います)、ケーブルシップに引き揚げます(揚収と言います)。
8000mの海底下からケーブルを引き揚げるには、まる一日以上かかる場合があります。
揚収したケーブルは、光ファイバの光学的試験及びケーブル給電路の電気的試験を行い、ケーブルに障害点があれば、さらにケーブルを揚収して障害点を切断・除去します。
3. 障害点を除去したケーブルの端に水密処理を施し、ロープ(ムアリングロープと言います)、さらにブイ(浮標とも言います)を取り付けていったん海中に投入します。
つぎにケーブルシップは、海底に残してきた他方のケーブルを探線するため移動し、先の手順によりもう一度ケーブルを探線・把持・揚収します。
4. 揚収したケーブルは、先の手順と同じく光学的、電気的試験を行い、障害点があれば切断・除去します。
このケーブルには船内タンクに保管している予備ケーブルを接続(ほとんどの場合、ユニバーサルジョイント技術により接続されます。)し、予備ケーブルを繰出しながら先に設置したブイに向かって敷設していきます。
5. 予備ケーブルを持ったまま、ブイについているケーブルを再びケーブルシップ上に揚収し、敷設してきた予備ケーブルの反対端と接続します。
最終確認のため、それぞれのケーブル陸揚げ局舎の間で試験を実施し、通信機能の回復を確認した後、船上にあるケーブルを海中に投入して修理作業を終了します。