水深約1,000m以浅の海域では、漁労や投錨によるケーブルのダメージを未然に防ぐため、大きく分けて2通りの方法により海底面下にケーブルを埋設しています。
1つは曳航式埋設機(PLOW-Ⅱ)により、ケーブルの敷設と埋設を同時に行なう方法です。
船上でPLOW-Ⅱの中にケーブルを通してから海底に降ろし、船でPLOW-Ⅱ本体を曳航する工法をとるため、敷設後のケーブルの埋設(後埋設)には不向きであり、海底地形や傾斜によって作業範囲が制限されますが、敷設・埋設を同時に行なうことができるため短い工程での埋設作業が可能であり、特に新規に長距離ケーブルの敷設・埋設を行なう場合に適しています。
もう1つは浮遊式ROV(MARCAS-IVやMARCAS-V)による埋設です。
ROVはジェット水流を海底に噴射しながら、状況により同じ区間を何度か往復して目標の埋設深度まで溝を掘り、ケーブルを溝に落とし込む工法をとるため、PLOW-Ⅱに比べて埋設作業の効率が悪いですが、海底面上を浮遊しながら移動できるという優れた操作性から、主にケーブル修理後の最終投入部などケーブルがカーブしている箇所や、PLOW-Ⅱを使用できないような地形の悪い場所での作業が可能です
ROVによるケーブル探線および後埋設作業例

1. ROV降下~障害点探査
ケーブル陸揚局からの、電気的・光学的測定などにより予め推定された障害点の付近に停船し、ROVを海底に降下します。
その後、水中カメラやケーブル探査装置゙などを使用してケーブルの障害点を特定します。

2. ケーブル切断~ケーブル回収
マニュピレーター(ROVの腕のような部分)とケーブル切断ツール(カッター)によりケーブル障害部を切断し、一方のケーブル端にケーブル把持ツール(グリッパー)を取り付けます。船から垂らしたロープとグリッパーを、マニュピレーターを操作して結合し、ケーブルを船上に回収します。
その後、もう一方のケーブル端付近に目印としてトランスポンダーを設置し、ROVを船上に揚収します。

3. ブイ設置~ケーブル探査~ケーブル回収
回収したケーブルに船上で浮き(ブイ)を取付け、一旦ブイを海面上に設置します。
その後、再度ROVを海底に降下し、トランスポンダー等をたよりにもう一方のケーブル端を探査して、上記2.項と同じ手順でケーブルを船上に回収します

4. 予備ケーブル割り入れ~ケーブル接続
上記3項で回収したケーブルと船内の予備ケーブルを接続します。
接続終了後、予備ケーブルを敷設(割り入れ)しながらブイに近づき、ブイとケーブルを回収します。
敷設ケーブルと回収したケーブルを接続して、ケーブルを海底に設置します

5. 後埋設
敷設(割り入れ)したケーブルと作業により海底面上に露出したケーブルを、ジェット水流により海底面下に埋設します。